「嫌な記憶が忘れられない…」そんな悩みを抱えている方は少なくありません。実は、この悩みは脳の仕組みと深く関係しています。結論から言えば「忘れる」しかないのですが、この記事では、嫌な記憶が頭から離れない原因と、その解決策を具体的な方法とともにご紹介します。

嫌なことを何度も思い返していませんか?
嫌なこと悲しかったこと辛かったことを体験していない人はいません。
しかし、その嫌な経験を日常の中で何度も言葉にしていませんか?

◆嫌な記憶が残りやすい脳の仕組み

脳が嫌な記憶を優先する理由
1.脳は私たちを「危険から守る」ために、ネガティブな情報を優先して覚え る性質があります。
2.脳は「繰り返されるもの」を重要視して記憶する。

◆繰り返しが記憶を定着させる理由

脳は「繰り返される情報」を「重要な情報」と判断します。たとえば、何度も聞いた曲のメロディや繰り返し行った練習内容が記憶として残りやすいのは、繰り返しにより「必要なもの」と判断しているからです。

例えば、子どもの頃に漢字や英単語を覚えた経験を思い出してください。
何度も繰り返して暗記したと思います。
その最たる例が算数の「九九」です。暗唱して記憶を長期記憶まで落とし込みました。そのおかげで、今でも九九をスラスラと言えるのです。
このような繰り返しは、勉強などの暗記だけでなく、日常生活のさまざまな場面でも見られます。繰り返しによって、脳は情報を定着させ、長期記憶として保存しています。

◆ポジティブ/ネガティブの記憶への影響

●ネガティブな記憶の場合
嫌な出来事を何度も思い出してしまうと、脳はそれを「重要」と誤解し、強固な記憶として保存します。この繰り返しが、不安やストレスを増大させる原因になります。

●ポジティブな記憶の場合
楽しかった体験や成功体験を繰り返し思い出すと、脳はそれを「価値ある情報」として強化し、自己肯定感や幸福感につながります。

◆繰り返すことで「自信」も強化できる

ここで大事なのは、「嫌な記憶だけでなく、ポジティブな記憶や経験も繰り返し強化できる」ということです。脳は繰り返されるものを重要だと判断するので、自分の強みや成功体験を何度も意識することで、自信や前向きな行動が自然に促されます。

具体例:

  • できていることを振り返る習慣を持つ
    例:毎晩「今日の良かったこと」や「感謝できること」を3つ書き出す。
  • 自分の強みを意識する言葉を繰り返す
    例:「私は人をサポートするのが得意だ」など、自分の強みを声に出して確認する。
  • 目標達成に向けた小さな一歩を振り返る
    例:「昨日、少しでも行動したこと」を記録し、「自分は進んでいる」と意識する。

◆嫌な記憶を書き換える3つの方法

1. 毒を吐く:吐き出すのは1度だけ

嫌なことがあれば、文句のひとつも言いたくなりますよね!
確かに、言わないに越したことはありませんが、
私はそれを禁止しません!
ポイントは「1度だけ」「最後に大笑いする!」
1度だけは盛大に文句を言ってもいい!とコンサル時には伝えています。
繰り返さないことです。

2. 新しい視点でリンクさせる:失敗を課題に変える

小さい失敗でも、「失敗した」と感じたら、原因と課題、解決策を考える。
寝る前、その日のうちに行うことがポイント

3. リセットする:記憶をかぶせる

嫌な記憶が頭をよぎった時、あらかじめ決めておいた楽しいイメージや肯定的な言葉を思い浮かべる方法です。
記憶は完全に消し去ることは難しいですが、別の記憶で上書きすることで、その影響力を弱めることができます。

例えば、嫌な出来事を思い出した瞬間に、「楽しかった旅行の思い出」や「達成感を感じた時の言葉」などを意識的に思い浮かべることで、ネガティブな感情を打ち消すことができます。

なぜこの方法が有効なのか?
私たちの脳は、同時にポジティブとネガティブの相反する感情を持つことができません。
そのため、ネガティブな感情に気づいた瞬間に、積極的にポジティブな感情を呼び起こすことで、ネガティブな記憶の影響力を弱めることができるのです。

具体的な方法

1.楽しいイメージや言葉を準備する

事前に、自分が心地よく感じるイメージや、元気をくれる言葉を選んでおきましょう。 例えば、「海で波の音を聴いている」「美味しいものを食べている」「目標を達成した瞬間」など、具体的なイメージがおすすめです。

2.トリガーを設定する

嫌な記憶が浮かんだときを想定して、その時に実行する言葉を決めておくと効果的です。

3.繰り返し練習する

何度か繰り返すことで効果が高まります。 最初は難しく感じるかもしれませんが、根気強く続けることで、自然とポジティブな思考に切り替わるようになります。

注意点

  • 無理に忘れようとするのは逆効果: 嫌な記憶を完全に忘れようとするのではなく、その記憶と向き合いながら、少しずつ克服していくことが大切です。
  • 完璧主義を捨てる: この方法を完璧に行う必要はありません。大切なのは、少しでもポジティブな思考にシフトすることです。
  • 専門家のサポートも検討する: どうしても一人で克服できない場合は、カウンセラーなどの専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

◆嫌な記憶を手放し、自分の未来を創るために

私たちの脳は「繰り返されるものを強化する」という性質を持っています。
この性質が、嫌な記憶を反芻することで「思い込み」や「固定観念」を生み出し、自信を失わせることもあります。ですが、この同じ性質を逆に活用して、自分の強みや成功体験を強化し、自信と成長を促すことが可能です。

◆まとめ

嫌な記憶を消し去るためには、脳の仕組みを理解し、意識的に対処することが大切です。

  1. 嫌な記憶を繰り返し思い出さない工夫をする。
  2. ポジティブな記憶や経験を意識的に繰り返し、脳にプログラムする。
  3. 具体的な方法を実践して、ネガティブな記憶の影響力を減らす。

未来を創るのは、あなたが今日繰り返す思考です。嫌な記憶の連鎖を断ち切り、ポジティブな習慣を築くことで、より充実した毎日を送りましょう。