『52ヘルツのクジラ』 
町田そのこ著/中央公論新社

-52ヘルツのクジラとは-
他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く
世界で1頭だけのクジラ
たくさんの仲間がいるはずなのに
何も届かない、何も届けられない
そのため、世界で一番孤独だと言われている
<書籍:帯より>

家族に搾取される人生を送っていた主人公「貴瑚」と
母に虐待されている「ムシ」と呼ばれる少年。
不倫や遊びの果てに出来た子どもに「自分の人生が上手くいかない罪」をなすりつけ、虐待する親。

誰かに助けを求める思考も削がれ
口を閉ざしてしまう
更に元凶の大人が隠してしまえば、
助けを求める声は誰にも届かない。

その声をキャッチしてもらい、貴瑚は救われるが、
逆に自分が恩人の声をキャッチできず悲しい結末を迎えてしまう。

その悔恨もあり、少年の声に耳を傾け、救おうとする貴瑚。

「52ヘルツのクジラ」のタイトルは秀逸!
誰かが気にかけ、変化に気付く、その少しの1歩の先に大勢の助けてくれる人たちがいる。

ラストの”全身で受け止めるから歌声をやめないで”という作者のメッセージには涙がでた。

社会問題が詰まってる一冊。

「様子を見る」はチャンスを失うことになる。
そんなチャンスすら滅多にないのだから。
子どもの態度や表情に、少しでも「違和感」を感じたら「即行動する」覚悟が必要だと感じた。
それくらいしないと、声をキャッチ出来ないのかと、問題の深さにも気づかせられた。

2024年映画化

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